「高専入試は数学と理科が重い」とよく言われます。
半分は当たっていますが、半分は違います。募集要項から学力検査の配点を50校分集めて並べたところ、5教科を均等に見る学校が17校ありました。一方で、社会を出題しない学校が11校、理科まで課さない学校が2校あります。
傾斜のかけ方は16通りに分かれました。志望校がどれに当たるかで、残りの数か月の使い方は変わります。
すぐ分かる結論
- 配点が分かるのは49校(全58校中)。残りは要項に数値の記載がありません。
- 5教科均等は17校。「高専=理数重視」が当てはまらない学校のほうが少なくありません。
- 社会を課さない学校が11校、そのうち理科も課さない学校が2校あります。
- 数学・理科・英語をまとめて2倍にする学校が6校、数学だけ2倍が2校、というように刻み方はさまざまです。
教科を課さない学校(まずここを確認)
配点の傾斜より先に見るべきなのが、そもそも出題されない教科です。
社会を課さない 11校
| 学校 | 出題教科 |
|---|---|
| 秋田高専 | 国語・数学・理科・英語 |
| 石川高専 | 国語・数学・理科・英語 |
| 岐阜高専 | 国語・数学・理科・英語 |
| 和歌山高専 | 国語・数学・理科・英語 |
| 都城高専 | 国語・数学・理科・英語 |
| 東京高専 | 国語・数学・理科・英語 |
| 鹿児島高専 | 国語・数学・理科・英語 |
| 神戸市立高専 | 国語・数学・理科・英語 |
| 大阪公立大学高専 | 国語・数学・理科・英語 |
| 東京都立産業技術高専 | 国語・数学・英語 |
| 近畿大学高専 | 国語・数学・英語 |
東京都立産業技術高専と近畿大学高専は、理科も課しません。 国語・数学・英語の3教科です。
ただし注意が必要です。学力検査で出題されないことと、調査書で見られないことは別です。 たとえば大阪公立大学高専は社会を出題しませんが、調査書では社会だけ第3学年の評定を6倍(他8教科は3倍)して計算します。出題されない教科が調査書では最も重い、という設計です。
「出ないから捨てる」と決める前に、志望校の調査書の算出方法まで確認してください。
傾斜のパターン別・49校
① 5教科均等(17校)
一関・福島・富山・福井・豊田・鳥羽商船・奈良・米子・呉・広島商船・宇部・大島商船・香川・弓削商船・高知・有明・佐世保
いずれも各教科100点・学力検査500点満点です。理数が得意でも強みが増幅されません。 苦手教科を1つ作ると他で取り返しにくい配点なので、5教科を平らに仕上げる必要があります。
商船系5校のうち4校(鳥羽・広島・大島・弓削)がここに入るのが特徴です。
② 数学・理科・英語を2倍(6校)
| 学校 | 国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 函館・苫小牧・釧路・旭川 | 100 | 100 | 200 | 200 | 200 | 800 |
| 長岡 | 100 | 100 | 200 | 200 | 200 | 800 |
| 長野 | 100 | 100 | 200 | 200 | 200 | 800 |
北海道の4校がすべてここです。 国語・社会が合わせて200点、理数英が600点なので、理数英だけで学力検査の75%を占めます。詳しくは北海道の高専4校の記事にまとめています。
③ 数学・理科を2倍(5校)
津山・阿南・新居浜・沖縄が各100点ベースで700点満点、松江は同じ比率を0.7倍して490点満点としています。
英語が等倍に戻るぶん、②より理数に寄った配点です。
④ 数学・理科を1.5倍(4校)
茨城・久留米・熊本が600点満点。北九州だけは理科1.1倍・数学1.6倍という独自の刻み方で、570点満点です。49校で唯一、1.5倍でも2倍でもない倍率を使っています。
⑤ 数学だけを重くする(5校)
- 仙台 — 数学2倍、600点満点
- 大分 — 数学2倍、600点満点(調査書270点を加えて870点満点)
- 鹿児島 — 数学2倍・社会なし、500点満点
- 東京 — 数学2倍・社会なし(後述の特殊な換算)
- 神戸市立 — 数学1.5倍・社会なし、450点満点
⑥ 数学と英語を重くする(2校)
舞鶴・明石がともに数学1.5倍・英語1.5倍で理科は等倍、600点満点です。理科より英語を重く見る数少ないパターンです。
⑦ その他
- 群馬 — 数学1.5倍・理科1.5倍・英語1.3倍、630点満点
- 鈴鹿 — 数学・理科・英語すべて1.5倍、650点満点
- 徳山 — 数学2倍・理科1.5倍・英語1.5倍、700点満点
- 大阪公立大学 — 数学・理科・英語を各150点、社会なし、550点満点
満点の数字そのものは比べられません
ここまで「500点満点」「800点満点」と書いてきましたが、学校をまたいで満点の大きさを比べても意味がありません。
- 東京高専は、各教科100点の素点を0.14倍して合計70点満点に換算し、数学だけ2倍の重みをかけます。内申30点と合わせて100点満点という設計です。
- 松江高専は、数学・理科を他教科の2倍で採点したうえで、合計を0.7倍して490点満点とします。
同じ「数学2倍」でも、最終的な満点は学校ごとに決め方が違います。見るべきは満点ではなく、教科どうしの比率です。
調査書の重みも学校で違います
学力検査だけを見ても足りません。調査書が合計に占める割合も学校差が大きいためです。
| 学校 | 学力検査 | 調査書 | 合計 | 調査書の比率 |
|---|---|---|---|---|
| 阿南 | 700 | 660 | — | 学力とほぼ同額 |
| 長岡 | 800 | 400 | 1,200 | 33% |
| 沖縄 | 700 | 495 | — | — |
| 宇部 | 500 | 360 | 860 | 42% |
| 鈴鹿 | 650 | 100 | 750 | 13% |
| 和歌山 | 400 | 100 | 500 | 20% |
鈴鹿は13%、宇部は42%と3倍以上の開きがあります。内申が弱い受験生ほど、学力検査の比重が高い学校のほうが戦いやすくなります。
推薦選抜での内申の重みは、別記事推薦入試の内申点はどれくらい効くかでさらに詳しく比べています。
志望校の配点をどう使うか
- まず「出ない教科」を確認する。 社会を課さない11校、理科も課さない2校があります。ここが分かるだけで時間配分が変わります。
- 次に比率を見る。 数学2倍の学校で数学を1問落とすのは、均等配点の学校で2問落とすのと同じです。
- 調査書の比率も見る。 学力検査の比重が高い学校なら、当日で挽回できる余地が大きくなります。
- 満点の大きさは無視してよい。 東京高専の100点満点と函館高専の800点満点に、難易度の差はありません。
各校の配点は当サイトの学校詳細ページにも掲載しています。志望校が決まっているなら、そのページと公式の募集要項を照らし合わせてください。
次のアクション
※配点は各校の募集要項(令和8年度・令和9年度)から当サイトが転記したものです。年度によって変わることがあります。出願前に必ず志望校の最新の募集要項でご確認ください。配点を要項に数値で示していない学校は、この記事の集計に含めていません。





