四国地方には、国立5校・私立1校の計6校の高等専門学校(高専)があります。全国的に注目される新設校から、全国に5校しかない商船高専まで、個性の強い学校がそろうエリアです。 この記事では、四国エリアの高専への進学を検討している中学生や保護者に向けて、各校の学科構成、代表倍率、学費、寮費などの基本情報を一覧で比較し、それぞれの特徴を解説します。
四国地方の高専一覧と基本情報
| 学校名 | 所在地 | 設置区分 | 学科構成 | 代表倍率 | 寮 |
|---|---|---|---|---|---|
| 阿南工業高専 | 徳島県阿南市 | 国立 | 創造技術工学科(1学科制・5コース) | 約1.9倍 | あり |
| 神山まるごと高専 | 徳島県神山町 | 私立 | デザイン・エンジニアリング学科(全寮制) | 約12.3倍 | あり(全寮制) |
| 香川高専 | 香川県(高松・詫間) | 国立 | 7学科/2キャンパス | 約1.2倍 | あり |
| 新居浜工業高専 | 愛媛県新居浜市 | 国立 | 5学科(機械/環境材料/電気情報/電子制御/生物応用化学) | 約1.8倍 | あり |
| 弓削商船高専 | 愛媛県上島町 | 国立 | 3学科(商船/創造工学/情報) | 約1.0倍 | あり |
| 高知工業高専 | 高知県南国市 | 国立 | ソーシャルデザイン工学科(1学科制・5コース) | 約1.2倍 | あり |
すべての学校に学生寮があり、特に神山まるごと高専は全寮制です。
各校の特徴と代表倍率
徳島県の高専(2校)
- 阿南高専:創造技術工学科の1学科制(機械・電気・情報・建築・化学の5コース)。入学後に専門を選べるのが特徴で、代表倍率は約1.9倍と四国の国立でも高めです。
- 神山まるごと高専(私立):2023年開校の全寮制の私立高専。「テクノロジー×デザイン×起業家精神」を掲げ、スカラーシップパートナー制度による学費実質無償化でも話題です。代表倍率は約12.3倍と全国の高専で最も高い水準で、マッチングを重視した独自入試を行っています。
香川県の高専(1校)
- 香川高専:2009年に高松工業高専と詫間電波高専が統合。高松キャンパス(機械・電気・建設系)と詫間キャンパス(情報・通信・電子系)の2キャンパス体制で計7学科。詫間は全国屈指のロボコン・プロコン強豪としても知られます。代表倍率は約1.2倍。
愛媛県の高専(2校)
- 新居浜高専:機械・環境材料・電気情報・電子制御・生物応用化学の5学科。「授業がハード」と言われるほど密度の高い専門教育で知られ、代表倍率は約1.8倍とやや高めです。
- 弓削商船高専:全国に5校しかない商船高専の一つ。商船・創造工学・情報の3学科で、練習船「弓削丸」による海上実習が特徴です。代表倍率は約1.0倍で、基礎固めと内申でしっかり狙える水準です。
高知県の高専(1校)
- 高知高専:2016年に全学科を「ソーシャルデザイン工学科」の1学科に統合した先進校。3年次からエネルギー・環境/ロボティクス/情報セキュリティ/まちづくり・防災/新素材・生命の5コースに分かれます。代表倍率は約1.2倍。
四国は代表倍率の幅が大きいエリアです。神山まるごと高専(約12.3倍)は全国から出願が集まる私立の特殊なケースで、選抜方式が国公立と異なるため他校と単純比較はできません。国立5校は約1.0〜1.9倍の範囲に収まります。倍率の読み方は「高専の倍率まとめ」でくわしく解説しています。
学費と寮費の目安
- 国立高専の学費(年間):約234,600円(入学料84,600円は初年度のみ)
- 私立高専(神山まるごと):授業料は年額200万円だが、希望者全員に学費相当の給付型奨学金が支給され実質無償化。寮費・食費は世帯収入に応じた負担
- 寮費(月額):約30,000〜50,000円前後(国立の場合。神山は全寮制のため別体系)
※本科1〜3年は高等学校等就学支援金の対象です。2026年度から所得制限が撤廃され、国公立高専は年額234,600円(授業料の全額)が支給されるため、授業料は実質0円になります。学費の詳細は「高専の学費まとめ」、寮費は「高専の寮費まとめ」をご覧ください。
卒業後の進路:四国5校の就職と進学
四国の高専の卒業者860名を合わせると、就職64.5%・進学33.0%です(各校の最新年度を卒業者数で加重して算出。神山まるごと高専は2023年開校で最初の卒業生がまだ出ていないため、この集計には含みません)。全国56校の平均は就職59.0%・進学38.5%なので、四国は全国よりやや就職に寄っています。
ただし「四国は進学に弱い」と読むのは早すぎます。差の一因は弓削商船高専です。商船学科は校内での授業・実習4年半に加えて海技教育機構の練習船での1年間の乗船実習があり、修業年限が5年半。卒業時に3級海技士(航海・機関)の筆記試験が免除されるため、大学編入よりも海技士として乗り組む道を選ぶ学生が多くなります(→ 商船学科の仕組みは中国地方の記事でくわしく触れています)。弓削商船の進学率は16.0%で、これは全国でも低い部類です。弓削商船を除く4校で計算し直すと進学35.9%となり、全国平均との差は2.6ポイントまで縮まります。
校ごとの幅も見ておいてください。香川高専の38.4%から弓削商船の16.0%まで22ポイント開いています。地域の平均値より、志望校そのものの数字を見るほうが実態に近い判断ができます。
編入先には四国らしさが出ます。編入実績データのある5校すべてで豊橋技術科学大学と長岡技術科学大学が上位に入りますが、これは全国共通の傾向です。四国で目立つのはその次で、徳島大学と岡山大学が5校中3校、愛媛大学と香川大学が5校中2校の上位に登場します。地元の国立大学への編入ルートが各校に根づいていることが読み取れます。
進路の全体像は「高専の就職率のホント」と「高専から大学編入する方法」でくわしく解説しています。
四国地方の高専の選び方
- 学びたい分野・学び方があるか:起業やデザインなら神山、海事なら弓削商船、1学科制で入学後にじっくり選ぶなら阿南・高知、と学び方の個性がはっきりしています。
- 国立か私立か:神山まるごと高専は私立ですが実質無償化の仕組みがあり、学費だけで候補から外さず制度を確認しましょう。
- 難易度(代表倍率)の確認:阿南・新居浜はやや高め、神山は全国屈指の高倍率です。志望校の最新倍率は公式で確認しましょう。
まずは各校の公式サイトやオープンキャンパスで、実際の雰囲気を感じてみることをおすすめします。
気になる学校を比べてみましょう
出典・参考資料
- 独立行政法人 国立高等専門学校機構および各校公式募集要項(2026年度版)
- 当サイト調べ(2026年7月時点・kosen.json 照合済)
- 商船学科の修業年限・海技士資格について:広島商船高等専門学校「商船学科」 https://www.hiroshima-cmt.ac.jp/departments/shosen/
【重要】当サイトのデータについて 高専には公立高校のような公的な「偏差値」が存在しません。当サイトでは、より実態に近い「倍率」や「入試方式」を難易度の目安としてお伝えしています(ネット上の偏差値表は非公式な推定値のため数値は掲載していません)。 倍率は各校の最新年度・全学科・全方式を合算した志願倍率(代表倍率)で、学科別の倍率ではありません。学費・寮費・倍率などの数値は各校の公式募集要項および当サイト調べ(2026年7月時点)に基づきます。最新の金額・日程は必ず各校公式の募集要項でご確認ください。





