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高専の倍率推移|2021〜2026年で倍率が上がった学校・下がった学校

高専の倍率は上がっているのか、下がっているのか。当サイトが持つ2021〜2026年の倍率推移データで検証したところ、全体は緩やかな低下傾向で、直近3年では上昇12校に対し低下25校でした。よく言われる「情報系の高騰」「くくり募集で倍率が跳ねる」がデータで確かめられるのかも検証します。

目次
  1. 全体の傾向: 緩やかに下がっている
  2. 検証: 「情報系が高騰している」は確かめられるか
  3. 検証: 「一括募集を入れると倍率が跳ね上がる」は本当か
  4. 検証: 神山まるごと高専は「初年度から10倍超」だったか
  5. 検証: 商船学科は「1.2倍前後で安定」か
  6. 受験戦略にどう活かすか
  7. まとめ
  8. 出典・集計方法

「高専の人気って最近上がってるの?」 「昔より入りやすくなったって本当?」

学校説明会でよくいただく質問です。この記事では、当サイトが全国の高専について蓄積している2021〜2026年度の志願倍率の推移をそのまま集計し、実際に何が起きているのかを確認します。

先に結論を言うと、全体は緩やかな低下傾向です。そして、よく語られる「情報系が高騰している」「くくり募集を入れると倍率が跳ね上がる」といった話は、当サイトのデータでは確認できませんでした。以下、根拠を順に示します。


全体の傾向: 緩やかに下がっている

年によって集計できる学校数が変わると平均も動いてしまうため、2021〜2026年の6年分すべてがそろっている学校だけを取り出して平均しました(国立18校)。

年度 平均志願倍率 中央値
2021 1.69倍 1.53倍
2022 1.70倍 1.48倍
2023 1.58倍 1.45倍
2024 1.71倍 1.60倍
2025 1.57倍 1.45倍
2026 1.48倍 1.38倍

公立・私立も含めた20校で見ても、1.72倍(2021年)から1.53倍(2026年)へと同じ方向に動いています。

年ごとに上下しますが、2021年と2026年を比べると0.2ポイントほど下がっています。少子化で15歳人口が減る一方、募集人員は動いていません。実際、当サイトに登録されている194学科のうち172学科(89%)が定員40名で、平均は42.1名です。分母が変わらず分子が減れば倍率は下がる、という素直な動きです。

直近3年では、下がった学校が上がった学校の2倍

2023年度と2026年度の両方のデータがある43校について、1校ずつ差を取りました。

学校数
倍率が上がった(+0.05以上) 12校
倍率が下がった(−0.05以上) 25校
ほぼ横ばい 4校

上がった学校(2023→2026)

学校 変化
神山まるごと高専 9.98倍 → 12.28倍
広島商船高専 1.02倍 → 1.94倍
佐世保高専 1.48倍 → 2.11倍
阿南高専 1.36倍 → 1.91倍
和歌山高専 1.44倍 → 1.74倍

下がった学校(2023→2026)

学校 変化
明石高専 1.58倍 → 1.00倍
富山高専 1.89倍 → 1.38倍
鈴鹿高専 2.66倍 → 2.16倍
徳山高専 2.40倍 → 1.94倍
苫小牧高専 1.74倍 → 1.31倍

注目していただきたいのは、上がった学校も下がった学校も、変化はせいぜい0.5ポイント程度だということです(神山まるごと高専だけは別格です)。「一気に難関化した」「急に入りやすくなった」という規模の変動は、この6年間には起きていません。


検証: 「情報系が高騰している」は確かめられるか

結論から言うと、当サイトのデータでは検証できません。当サイトが保有している倍率推移は学校単位であり、学科系統別の推移データを持っていないためです。ここは正直にお伝えします。

そこで、学科別の倍率を5年分公表している東京高専の公式データで確認しました。

学科 令和5 令和6 令和7 令和8
情報工学科 2.8倍 3.1倍 3.2倍 2.6倍
機械工学科 1.8倍 1.8倍 2.4倍 1.8倍
電子工学科 1.5倍 1.6倍 1.7倍 1.3倍
物質工学科 1.5倍 1.6倍 1.8倍 1.4倍
電気工学科 1.1倍 1.9倍 1.1倍 1.2倍
合計 1.8倍 2.0倍 2.0倍 1.7倍

たしかに情報工学科は他学科より一貫して高い(2.6〜3.2倍)ものの、令和7年度の3.2倍をピークに、令和8年度は2.6倍へ下がっています。「年々上がり続けて4倍に届く」という動きにはなっていません。

もう一つよく名前が挙がる大阪公立大高専も確認しました。学校全体の倍率は2021年から1.95→1.93→1.74→1.89→(2025年度は学力検査の志願者数が非公表)→1.84倍と、ほぼ横ばいです。そもそも同校は一括募集(総合工学システム学科)で、学科別の倍率という数字自体が存在しません。

学科系統別の倍率については、2026年度入試の全国データを別記事で集計しています。そこでも情報系は5系統で最も高い1.83倍でしたが、最低の電気・電子系1.42倍との差は0.4ポイントほどでした。詳しくは高専の倍率は学科で違う?をご覧ください。

情報系がやや高い水準にあるのは事実です。ただし「高騰」「異常な高倍率」と呼ぶほどの動きは、公表データからは確認できません。


検証: 「一括募集を入れると倍率が跳ね上がる」は本当か

「1年次は全員同じ学科に入り、進級時にコースへ分かれる一括募集(くくり募集)を導入すると、志望分野が未確定の中学生も受験しやすくなり倍率が上がる」——これもよく聞く説です。

導入校3校の推移を見てみます。

学校 2021 2022 2023 2024 2025 2026
高知高専 ソーシャルデザイン工学科 1.18 1.23 1.25 1.32 1.27 1.18
米子高専 総合工学科 2.29 2.36 1.98 1.93 1.82 —
有明高専 創造工学科 — 1.54 1.43 1.50 1.51 1.41

3校とも上昇していません。 高知は6年間ほぼ横ばい(2026年の1.18倍は2021年と同値)、米子と有明はむしろ下がっています。

ただし注意点があります。これら3校の一括募集導入は当サイトが推移データを持つ2021年より前で、導入した年に何が起きたかは、このデータでは検証できません。言えるのは「導入から数年たった現在、倍率が上がり続けているわけではない」ということだけです。

一括募集そのものについては、高専の倍率は学科で違う?で、全58校中18校が該当することと、その場合に学科別倍率が判断材料にならない理由を解説しています。


検証: 神山まるごと高専は「初年度から10倍超」だったか

2023年に開校した神山まるごと高専は、たしかに他とは桁の違う倍率です。ただし初年度の数字は正確に押さえておく価値があります。

同校が公表している2023年度の入試結果は、志願者399名(併願含む)・実受験者277名・合格者44名。学校自身は志願倍率 約9.0倍・実質倍率 約6.2倍と発表しています。

当サイトの集計値が2023年度9.98倍となっているのは、志願者399名を募集人員40名で割っているためです(同校は合格者44名で割って9.0倍としています)。分母の取り方が違うだけで、どちらで計算しても初年度は10倍に届いていません。

10倍を超えたのは2年目以降です。

年度 当サイト集計
2023 9.98倍
2024 11.45倍
2025 10.32倍
2026 12.28倍

初年度から一貫して極めて高い倍率であることは間違いありませんが、「初年度から10倍超」という言い方は正確ではありません。


検証: 商船学科は「1.2倍前後で安定」か

全国に5校ある商船高専(富山・鳥羽・広島・大島・弓削)について、学校全体の倍率推移を並べます。

学校 2021 2022 2023 2024 2025 2026
富山高専 2.39 2.08 1.89 1.95 1.74 1.38
鳥羽商船高専 1.87 1.57 1.72 2.41 1.77 1.97
広島商船高専 — 2.16 1.79 2.00 1.31 1.94
大島商船高専 1.68 1.83 1.73 2.04 1.98 —
弓削商船高専 1.07 0.98 — 1.17 0.86 0.95

「1.2倍前後で安定」とは言えません。 1.02倍(広島商船・2023年)から2.39倍(富山・2021年)まで幅があり、年ごとの振れも大きいのが実態です。なお弓削商船高専は学力による選抜の志願者数しか公表していないため、全方式を合算したこの比較には入れていません。

なお上表は学校全体の倍率で、商船学科単体の倍率ではありません。商船学科だけを取り出せたのは富山・広島商船・弓削の3学科で、2026年度入試では合わせて1.99倍でした。


受験戦略にどう活かすか

① 「トレンド」より「志望校の実数」を見る

この記事で見たとおり、6年間の変化はせいぜい0.5ポイント程度です。全国のトレンドを読んでも、志望校の合否にはほとんど効きません。志望校の公式サイトで過去3〜5年分の実数を確認するほうが、はるかに役立ちます。

② 情報系志望なら第2志望を設定しておく

情報系がやや高い水準にあるのは事実です。多くの高専にある「第2志望・第3志望制度(スライド合格)」は活用する価値があります。ただしこれは「情報系が異常な難関だから」ではなく、どの学科を志望する場合でも有効な保険として考えてください。

③ 推薦の倍率は、思われているほど高くない

「学力入試の倍率が下がっても推薦は2〜3倍のまま」という話をよく聞きますが、データはそうなっていません。東京高専の推薦入試実績を見ると、志願者132名/合格者120名(令和5年度)、148/120(令和6)、148/120(令和7)、135/120(令和8)で、倍率は1.1〜1.2倍程度です。

学科によっては2倍を超えるところもありますが、2026年度入試の全国データで推薦の募集人員と志願者数がそろう63学科を見ると、推薦倍率の中央値は1.44倍。2倍以上に達したのは13学科(21%)で、少数派です。推薦は「受かりにくいから避ける」ものではありません。


まとめ

  1. 高専の倍率は、6年間で緩やかに下がっています(国立18校の平均 1.69倍→1.48倍)。直近3年では上昇12校・低下25校。
  2. 「情報系の高騰」は公表データでは確認できません。 情報系がやや高いのは事実ですが、東京高専の情報工学科は令和7年度の3.2倍をピークに令和8年度は2.6倍へ低下しています。
  3. 「一括募集で倍率が跳ね上がる」も確認できません。 高知・米子・有明はいずれも横ばいか低下です。
  4. 神山まるごと高専が10倍を超えたのは2年目以降です(初年度は公式で約9.0倍)。
  5. 商船高専の倍率は1.2倍前後で安定していません(1.02〜2.39倍)。

倍率の「トレンド」は、受験戦略の材料としては弱いというのが正直なところです。志望校の実数を見てください。


出典・集計方法

学校別の倍率推移は、当サイトが各高専の公式発表(入試結果・出願状況)から収集し学校データベースに登録している志願倍率(志願者数÷募集人員)です。実質倍率(受験者数÷合格者数)ではありません。両者の違いは高専の倍率の正しい読み方で解説しています。

平均値は、年による集計対象校の入れ替わりで数字が動くことを避けるため、対象期間の全年度がそろっている学校のみで算出しています(2021〜2026年の6年分そろう国立18校/全区分20校)。

学科別の数値は、当サイトが2026年度入試について全58校の公式資料から個別に収集した入試データによります。

個別に参照した公式ページは次のとおりです(いずれも2026年8月9日確認)。


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