「高専って男子校みたいな雰囲気じゃないの?」 「女子が少ないと、友達ができなくて浮いたりしない?」
高専(高等専門学校)への進学を考える女子中学生やその保護者から、いちばん多くいただく質問です。
この記事では、印象論ではなく公表されている実数でお答えします。結論を先に言うと、「高専は女子が少ない」は学科によるとしか言えません。同じ高専のなかに、女子が1割を切る学科と、女子が8割を超える学科が同居しています。
高専全体の女子比率は24.3%
高専本科の学生53,305人のうち、女子は12,964人。女子比率は24.3%です。おおよそ4人に1人になります(文部科学省「令和7年度学校基本統計」を学科単位に集計)。
比較対象として、大学の学部で工学を専攻する学生の女子比率は16.7%です(令和6年度)。理学は28.3%、全専攻分野をならすと45.9%。工学分野に限れば、高専のほうが大学より女子比率は高いということになります。
「工学=男子」というイメージのわりに、高専の24.3%は低い数字ではありません。ただし、この全体平均だけを見て志望校を決めるのは危険です。理由は次のとおりです。
学科によって、女子比率は6.7%から83.1%まで違う
同じ高専のなかでも、学科系統によって男女比はまったく違います。
| 学科系統 | 女子比率 | 学生数 | 40人あたりの女子 |
|---|---|---|---|
| 化学・物質系 | 48.7% | 4,903人 | 19.5人 |
| 建設・土木系 | 38.7% | 5,618人 | 15.5人 |
| 経営・商業系 | 33.7% | 1,599人 | 13.5人 |
| 情報系 | 26.8% | 3,734人 | 10.7人 |
| その他 | 22.8% | 4,470人 | 9.1人 |
| 総合・融合系 | 22.7% | 11,985人 | 9.1人 |
| 電気・電子系 | 15.6% | 11,425人 | 6.3人 |
| 機械系 | 13.9% | 9,571人 | 5.6人 |
最も高い化学・物質系(48.7%)と、最も低い機械系(13.9%)では3.5倍の開きがあります。学科名の単位まで下ろすと差はさらに広がり、6.7%から83.1%まで散らばります。
女子が多い学科
| 学科名 | 女子比率 | 学生数 |
|---|---|---|
| 国際ビジネス学科 | 83.1% | 213人 |
| 経営情報学科 | 69.6% | 207人 |
| ビジネスコミュニケーション学科 | 66.7% | 198人 |
| 生物応用化学科 | 56.0% | 838人 |
| 化学・バイオ工学科 | 54.9% | 204人 |
| デザイン学科 | 53.8% | 158人 |
| 生物資源工学科 | 53.0% | 202人 |
| 材料工学科 | 52.9% | 208人 |
化学・バイオ系とビジネス系は、女子が半数前後、あるいは多数派です。「女子が浮く」という心配はまず当たりません。化学・物質系は12学科すべてが30%を超えており、系統としての安定感があります。
建築・デザイン系も同様です。建築学科は48.5%、神山まるごと高専のデザイン・エンジニアリング学科は49.2%。建設・土木系は12学科中10学科が30%超で、「土木=男の世界」という印象は現在のデータには合いません。
女子が少ない学科
機械系と電気・電子系は、系統平均で13.9%・15.6%です。40人のクラスなら女子は6人前後という計算になります。学科名の単位でいちばん低いのは機械電子工学科の8.7%、電気・電子系ではシステム制御情報工学科の11.0%です。
ただし、「クラスに女子が2〜3人しかいない」というほど極端ではありません。機械系11学科のうち9学科、電気・電子系16学科すべてが10%を超えています。40人学級なら5人前後は同性の同級生がいる計算です。
なお、ここでの学科名は全国の同名学科を合算した値です。同じ「機械工学科」でも学校によって実際の男女比は上下します。志望校の実数は各校の公表資料でご確認ください。
志望校選びで見るべきなのは「学校の平均」ではなく「学科」
ここまでのデータから言えるのは、「あの高専は女子が少ないらしい」という学校単位の評判は、ほとんど判断材料にならないということです。同じ学校のなかに1割前後の学科と5割超の学科が並んでいます。
気になる学校があれば、学校検索から学科構成を確認し、志望学科がどの系統に属するかを見てください。学科系統ごとの女子比率をさらに詳しく知りたい方は、高専の女子比率は約24%!でも「学科」によって全然違うって本当?で系統別ランキングを解説しています。80学科すべての内訳は、この記事の末尾に挙げた集計元データで公開しています。
高専女子の学校生活
学生寮は国立51校すべてにあります
学生寮を持っているのは58校中55校で、国立51校はすべて寮ありです。寮がないのは公立3校(神戸市立・東京都立産技・大阪公立大学)だけです。
女子寮の状況は、当サイトが確認できた範囲で52校が男子寮とは別棟・別区画の女子寮を用意しています。ほかに男女同一棟でフロア等を分けている学校が2校、学校が斡旋する外部施設を利用する学校が1校です。
各校の寮費・定員・女子寮の有無は学校検索の各校ページに掲載しています。設備やセキュリティの詳細は学校ごとに差が大きいため、オープンキャンパスや学校説明会で実物をご確認ください。寮生活全般については高専の寮生活で解説しています。
交流イベント
全国の高専女子が集まり研究発表や企業との交流を行う「高専女子フォーラム」が開催されています。他校の女子学生とつながる機会になります。開催情報は各校または高専機構の告知をご確認ください。
就職について
高専卒業生の就職状況は全体として良好です。学校別・分野別の実績は高専の就職率の実態にまとめています。
ただし、「女子学生に限った就職実績」を公表しているデータは、高専機構にも各校にも見当たりません。「高専女子は就職で圧倒的に有利」という説明はよく見かけますが、当サイトが確認できた公表資料の範囲では、それを裏づける数字を示せません。断定は避けておきます。
進路を判断する材料としては、志望校が公表している学科別の就職先一覧を見るのが確実です。各校ページからリンクしています。
まとめ
- 高専本科の女子比率は24.3%(53,305人中12,964人)。大学の工学部(16.7%)より高い水準です。
- ただし学科差が大きく、化学・物質系48.7%に対し機械系13.9%。学科名の単位では6.7%〜83.1%の開きがあります。
- 機械系・電気系でも40人あたり女子6人前後。「クラスに2〜3人」というほど少なくはありません。
- 学生寮は国立51校すべてにあり、52校が独立した女子寮を備えています。
- 「女子が少なくて不安」なら、学校ではなく学科で選ぶのがいちばん確実です。
「理科や数学が好き」「モノづくりが好き」という気持ちがあるなら、女子比率は志望学科を決めてから確認すれば十分です。
出典
- 高専の学生数・女子比率: 文部科学省「令和7年度学校基本統計(学校基本調査の結果)」をもとに、当サイトが学科単位に集計(本科53,305人・女子12,964人)。集計元データは学科別・系統別で公開しています。専攻科・科目等履修生等を含めた在学者数ベースの数値との違いは姉妹記事で解説しています。
- 大学の専攻分野別女子比率: 内閣府「男女共同参画白書 令和7年版」4-1図(文部科学省「学校基本統計」令和6年度より作成) https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r07/zentai/html/zuhyo/zuhyo04-01.html
- 学生寮の有無・女子寮の形態: 当サイトの学校データベース(全58校)





