「将来は大きな船に乗って、世界中を航海したい」 「商船高専って、普通の高専と何が違うの?」
全国に58校ある高専の中で、わずか5校だけ存在する特別な高専があります。それが「商船高専(しょうせんこうせん)」です。
商船高専は、大型船舶の船長(航海士)や機関長(機関士)といった「海のプロフェッショナル」を育成するための学校です。本記事では、商船高専ならではの特徴と、卒業後の進路について解説します。
全国に5校しかない「商船高専」一覧
商船高専は、海に面した以下の5つの地域にのみ設置されています。
- 富山高等専門学校(射水キャンパス)(富山県)※旧・富山商船高専
- 鳥羽商船高等専門学校(三重県)
- 広島商船高等専門学校(広島県)
- 大島商船高等専門学校(山口県)
- 弓削商船高等専門学校(愛媛県)
※これらの学校には、船乗りを目指す「商船学科」だけでなく、普通の高専と同じような「情報系」や「電子機械系」の学科も併設されています。
商船高専(商船学科)の3つの特徴
普通の高専(工業高専)の学科とは異なり、商船学科には以下のような独自の特徴があります。
1. 修業年限が「5年半」である
普通の高専は5年制ですが、商船学科は「5年6ヶ月(5年半)」のカリキュラムとなっています。 最初の5年間は学校での座学や実習を行い、最後の半年間は独立行政法人海技教育機構の大型練習船に乗り込み、実際に海の上で生活しながら学ぶ「乗船実習」を行います。卒業時期は9月になります。
2. 「海技士」の国家資格が取得できる
商船学科を卒業すると、大型船舶を操縦・管理するために必須の国家資格である「三級海技士(航海または機関)」の筆記試験が免除されます(口述試験のみで取得可能)。これは、船乗りを目指す上で非常に強力なアドバンテージです。
3. 制服があり、規律が厳しい(全寮制の学校も)
普通の高専は私服登校で自由な校風が多いですが、商船学科の学生は「船員としての規律」を学ぶため、海軍のような凛々しい制服(冬は黒、夏は白のセーラー服など)の着用が義務付けられています。 また、弓削商船高専など一部の学校では、協調性や集団生活のルールを学ぶため、1年生のうちは「原則全寮制(全員が寮に入る)」という厳しいルールが設けられています。
商船学科の2つのコース(航海と機関)
商船学科に入学すると、途中で以下の2つのコースのいずれかを選択します。
航海コース(船を操縦する)
- 役割:船の現在位置を把握し、安全なルートを計画して船を操縦する「航海士(将来の船長)」を目指します。
- 学ぶ内容:航海学、運用学、気象学、海事法規など。
機関コース(船の心臓部を守る)
- 役割:巨大なエンジンや発電機、ボイラーなどの機械設備を運転・保守する「機関士(将来の機関長)」を目指します。
- 学ぶ内容:熱機関学、電気工学、計測制御、機械工作など。
卒業後の進路と高い就職力
商船学科の卒業生は海運業界からの需要が高く、就職を希望する学生の多く(就職希望者ベース)が、海運会社や海事関連の企業へ進んでいます。
主な就職先
- 外航海運会社:日本郵船、商船三井、川崎汽船など(世界中を航海する大型貨物船やタンカー)
- 内航海運会社・フェリー会社:日本国内の港を結ぶ貨物船や、長距離フェリーの運航会社
- 官公庁:海上保安庁、海上自衛隊、税関など
- 陸上企業:機関コースで学んだ機械・電気の知識を活かし、造船所や電力会社、プラントメーカーなどの陸上の企業に就職する人も多くいます。
給与水準(年収)
外航海運会社に航海士や機関士として就職した場合、海の上という特殊な環境での勤務となるため、各種手当が手厚く支給されます。そのため、20代のうちから年収700万〜1,000万円以上を稼ぐことも珍しくなく、一般的な大卒サラリーマンを大きく上回る高収入を得ることが可能です。
まとめ
- 商船高専は、航海士や機関士を育成する全国に5校しかない特別な学校
- 修業年限は5年半で、半年間の厳しい乗船実習がある
- 海運業界への就職に強く、若くして高収入を得られる可能性が高い
「海が好き」「世界を股にかけるスケールの大きな仕事がしたい」という中学生にとって、商船高専は夢を叶えるための最高の登竜門です。




