「高専はお金がかからないって本当?」 「うちの年収でも授業料免除になる?」
国立高専の授業料は年額234,600円(約23.5万円)です。国立大学の年535,800円と比べれば低い一方、公立高校の全日制は支援前で年118,800円(東京都立の例)なので、高校より安いわけではありません。5年間の合計に寮費や食費が加わると、負担は決して小さくありません。
そこで活用したいのが、高専生向けの充実した奨学金・授業料免除制度です。本記事では、高専の1〜3年生(高校生相当)と4〜5年生(大学生相当)で利用できる制度の違い、年収基準の目安、そして申請のタイミングについて徹底解説します。
高専1〜3年生(高校生相当)が利用できる制度
高専の1年生から3年生までは、法律上「高校生」と同じ扱いになるため、高校生向けの支援制度が適用されます。
1. 高等学校等就学支援金(国による授業料支援)
最も多くの学生が利用しているのが、この「就学支援金」です。国が授業料の一部(または全額)を負担してくれる制度で、返済の必要はありません。
- 対象者:日本国内に住所を有する高専1〜3年生
- 支援額:2026年度から所得制限が撤廃され、世帯年収にかかわらず対象になりました。
- 国立・公立高専:年額234,600円(授業料の全額相当)が支給され、授業料は実質無償になります。
- 私立高専:年額最大457,200円を上限に支給されます(国籍・在留資格・在学期間・申請等の要件は残ります)。
- 申請時期:入学時の4月と、毎年の7月頃(マイナンバーカード等を利用してオンライン申請)
2. 高校生等奨学給付金(国による授業料以外の支援)
授業料以外の教育費(教科書代、教材費、修学旅行費など)を支援するための給付型奨学金です。こちらも返済不要です。
高専は1〜3年生が対象校種に含まれます。
- 対象者:文部科学省の令和8年度予算資料では対象が広がり、生活保護受給世帯・住民税所得割非課税世帯(年収目安 約270万円未満)に加えて、年収目安 約490万円程度までが対象とされています。運用は都道府県が行うため、実際の受付区分は必ずお住まいの都道府県の案内で確認してください。
- 支援額(令和8年度予算案・全日制等)
| 世帯区分 | 国公立 | 私立 |
|---|---|---|
| 生活保護受給世帯 | 年32,300円 | 年52,600円 |
| 住民税非課税世帯(〜約270万円) | 年143,700円 | 年152,000円 |
| 〜約380万円(非課税世帯の1/3) | 年47,900円 | 年50,670円 |
| 〜約490万円(非課税世帯の1/4) | 年35,930円 | 年38,000円 |
- 申請時期:毎年7月頃(各都道府県を通じて申請)
年収の金額は「両親のうち一方が働き、高校生1人(16歳以上)と中学生1人の4人世帯」というモデルケースの目安です。実際の可否は住民税額・世帯構成・国籍等の要件で決まるので、お住まいの都道府県の案内で確認してください。授業料そのものを支援する「高等学校等就学支援金」とは別の制度です。
高専4〜5年生・専攻科生(大学生相当)が利用できる制度
高専の4年生になると「大学生」と同じ扱いになり、利用できる制度が大きく変わります。
1. 高等教育の修学支援新制度(授業料減免+給付型奨学金)
2020年からスタートした、いわゆる「大学無償化」制度です。授業料の減免と、返済不要の給付型奨学金がセットになっています。
対象は高専の4年・5年生と専攻科生です。支援は「給付型奨学金(生活費)」と「授業料・入学金の減免」の2本立てで、それぞれ別に決まります。
給付型奨学金の月額(高専・令和8年度)
| 区分 | 国公立 自宅 | 国公立 自宅外 | 私立 自宅 | 私立 自宅外 |
|---|---|---|---|---|
| 第1区分 | 17,500円 | 34,200円 | 26,700円 | 43,300円 |
| 第2区分 | 11,700円 | 22,800円 | 17,800円 | 28,900円 |
| 第3区分 | 5,900円 | 11,400円 | 8,900円 | 14,500円 |
大学向けの金額(国公立・自宅外で月66,700円など)とは別です。生活保護受給者と同居する場合などは自宅通学額に特例があります。
授業料・入学金の減免(高専の上限・年額):国公立は授業料23万円・入学金8万円、私立は授業料70万円・入学金13万円。
年収の目安(世帯構成により変わります)
| 支援割合 | 年収の目安 |
|---|---|
| 満額 | 〜約300万円 |
| 2/3 | 〜約400万円 |
| 1/3 | 〜約460万円 |
| 1/4 | 〜約700万円 |
- 申請時期:3年生の春頃(予約採用)、または4年生の春・秋(在学採用)
多子世帯(きょうだいが3人以上)は別枠です
上の年収区分とは別の対象として、多子世帯支援があります。生計維持者の住民税上の扶養に入っていて、扶養する子の数が3人以上であれば、授業料・入学金は収入制限なく上の上限額まで支援されます(第1子から対象)。
ただし給付型奨学金のほうは収入に応じた額(満額〜1/4)で、収入の基準を超えると支給はありません。「子が3人いれば全部まかなわれる」ではないので、2つを分けて考えてください。扶養・学業成績・学ぶ意欲の要件は毎年確認されます。
2. 日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金
最も一般的な「借りる」タイプの奨学金です。卒業後に返済の義務があります。
- 第一種奨学金(無利子):学力基準と家計基準(年収目安 約740万円未満)を満たす学生が対象。月額2万円〜5万円程度から選択。
- 第二種奨学金(有利子):第一種よりも緩やかな基準(年収目安 約1,000万円未満)で利用可能。月額2万円〜12万円から選択。
- 申請時期:3年生の春頃(予約採用)、または4年生の春(在学採用)
各高専独自の奨学金・免除制度
国の制度以外にも、各高専や民間団体が独自の支援制度を用意しています。
1. 高専独自の授業料免除・徴収猶予
経済的理由により授業料の納付が困難であり、かつ学業優秀と認められる学生に対し、各高専が独自に授業料の全額または半額を免除、あるいは納付期限を延長(猶予)する制度です。 国の制度(就学支援金や修学支援新制度)の対象外となってしまった場合でも、学校独自の基準で救済される可能性があります。
2. 民間財団・地方自治体の奨学金
各都道府県や市区町村、民間企業が設立した財団法人が提供する奨学金です。給付型(返済不要)のものも多くありますが、学校長の推薦が必要だったり、「他の奨学金との併用不可」といった条件があるため、学生課の掲示板や公式サイトをこまめにチェックする必要があります。
まとめ:制度を理解して賢く活用しよう
高専は、学ぶ意欲のある学生を経済面で強力にバックアップする体制が整っています。
- 1〜3年生は「就学支援金」で授業料が実質無料(2026年度から所得制限が撤廃され、国公立高専は年額234,600円=授業料の全額が支給されます)
- 4〜5年生は「修学支援新制度」や「JASSO奨学金」に切り替わる
- 申請のタイミング(特に入学時と3年生の春)を絶対に逃さないこと
奨学金や免除制度は、「自分から申請しないと受けられない」のが大原則です。入学前や進級前に、各高専の公式サイトや学生課からの案内を必ず確認し、期限内に手続きを行いましょう。
出典
- 文部科学省「高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)」令和8年度予算額 https://www.mext.go.jp/content/20260408-mxt_shuukyo03-100002595_4.pdf(対象校種・世帯区分別の給付額)
- 日本学生支援機構「高等教育の修学支援新制度 2026年度リーフレット(在学採用)」 https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/kyufu/__icsFiles/afieldfile/2026/01/27/r8_zaigaku_leaflet_2.pdf(年収の目安・多子世帯支援・減免の上限額)
- 日本学生支援機構「給付奨学金の支給額」 https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/kyufu/kingaku.html(高専の区分別支給月額)
- 東京都立学校の授業料等徴収条例(公立高校の授業料の比較用)
年収の金額はいずれもモデルケースの目安です。実際の可否は住民税額・世帯構成・扶養する子の数などで決まります。制度は年度ごとに変わるので、出願・進級の前に必ず最新の公式資料と在学校の窓口で確認してください。




