「高専の5年生って、授業が少なくて楽になるって本当?」 「卒業研究って具体的に何をするの?」
高専生活の総決算であり、5年間の学びの集大成となるのが「卒業研究(通称:卒研)」です。 5年生になると、座学の授業は大幅に減り、週の半分以上の時間を研究室(ラボ)での実験や開発に費やすことになります。
本記事では、研究室の配属からテーマ選び、そして最終的な論文発表までの流れと、5年生のリアルな実態を解説します。
1. 研究室(ラボ)の配属とテーマ選び
配属のタイミングと決め方
多くの高専では、4年生の冬(1月〜2月頃)に、5年生で所属する研究室の希望調査が行われます。
- 成績順の優先配属:人気の研究室(就職に強い、先生の指導が丁寧、テーマが面白いなど)には希望者が殺到します。定員をオーバーした場合、「4年生までの成績(GPA)」が良い学生から優先的に選ばれるのが一般的です。
- ブラック研究室の回避:一部には「毎日深夜まで帰れない」「先生の指導が厳しすぎる」といった、いわゆるブラック研究室も存在します。先輩からの情報収集が命運を分けます。
研究テーマの決まり方
配属後、指導教員(教授)と相談して研究テーマを決定します。
- 先生から与えられるパターン:先生が持っている大きな研究プロジェクトの一部を担当するケース。
- 自分で提案するパターン:「こんなアプリを作りたい」「この素材を研究したい」と自ら提案し、先生の承認を得るケース。
2. 卒業研究の1年間の流れ(5年生のスケジュール)
5年生の1年間は、就職活動・大学編入試験と並行して研究を進めるため、非常にハードなスケジュールになります。
春(4月〜6月):就活・編入試験との両立
- 研究の立ち上げ:先行研究(過去の論文)を読んだり、実験装置のセットアップを行ったりします。
- 進路活動のピーク:この時期は就職の面接や大学編入の試験が集中するため、先生も「まずは進路を優先しろ」と配慮してくれることが多いです。
夏〜秋(7月〜11月):実験・開発の本格化
- 進路が決定し、いよいよ研究に本腰を入れます。
- プログラムのコーディング、機械の設計・加工、化学実験によるデータ収集など、ひたすらトライ&エラーを繰り返します。
- 秋には「中間発表会」があり、研究の進捗状況を他の先生や学生の前でプレゼンします。
冬(12月〜2月):論文執筆と最終発表
- 論文執筆:集めたデータを分析し、数万字に及ぶ「卒業論文」を執筆します。論理的な文章構成や、図表の正しい見せ方が求められます。
- 卒業研究発表会(卒研発表):2月中旬〜下旬に開催される最大のイベントです。スーツを着て、全教員と学生の前で研究成果をプレゼンし、厳しい質疑応答(ツッコミ)を乗り越えます。
3. 卒業研究で得られる「3つの力」
高専の卒業研究は、大学の学部生(4年生)の卒業研究と同等、あるいはそれ以上のレベルで行われることも珍しくありません。この1年間で、エンジニアとして必須の能力が鍛えられます。
- 課題解決能力:答えのない問題に対して、自分で仮説を立て、実験し、検証するプロセスを経験します。
- 論理的思考力と文章力:卒業論文を執筆する過程で、「誰が読んでも理解できる論理的な文章」を書く訓練を受けます。
- プレゼンテーション能力:専門外の人にも分かりやすく研究内容を伝え、鋭い質問にその場で答える度胸が身につきます。
まとめ
- 5年生の生活は「卒業研究」が中心となり、研究室での活動がメインになる。
- 人気の研究室に入るためには、4年生までの成績(GPA)が重要になる。
- 就活や編入試験と並行しながら、実験・論文執筆・プレゼンを行い、エンジニアとしての総合力を身につける。
卒業研究を乗り越えた高専生は、「自分で考えてモノを作り、結果を論理的に説明できる」という、社会で最も求められるスキルを持った人材として巣立っていきます。





